学生のうちから、「将来は起業して自分のお店を持ちたいな自分の好きなものを提供してお客さんに喜んでもらえたらいいな…」と考えている人は、意外と多いんじゃないですか。そして学生が起業するとなると、飲食店は親しみやすい印象があって思いつきやすい業種の一つですよね。
しかし行列が絶えないお店、SNSで評判になるようなお店というのはごく一握りです。多くのお店が開店してまもなく閉店してしまいます。学生が軽い気持ちで起業して、飲食店で成功するなんてことはまずありません。有名人のお店でさえ、成功するとは限らない厳しい世界なのです。
この記事は「大学の学園祭で出店の運営を任された!」という場合でも役立ちます。
そこで今回は学生が起業、なかでも飲食店を始めようという人に向けて、飲食店を開くために準備しなければならないこと、また失敗しないためにどのようなことに注意しなければならないのかについて、お伝えしていきます。
学生が起業するときの準備・注意点【飲食店編】その1:まずは綿密に計画を立てよう
学生が起業し、飲食店を始めるにあたってまずしなければならないことは「綿密な計画を立てる」ことです。いきあたりばったりでは飲食店を経営するどころか、開店することさえもできません。
まずはどのようなお店にしたいのか、ビジョンをはっきりさせておきましょう!
- 何のためにお店を開くのか
- 何を扱うお店にするのか
- どのような客層をターゲットにするのか
- どこにお店を開くのか
- 価格はどれくらいに設定するのか
- 営業時間や定休日をどうするのか
- どのように商品を提供するのか(テイクアウト、宅配など)
学生が起業し、飲食店を始めるのであれば基本は絶対に外せません。これらのことをきちんと設定しておくことは、具体的な準備段階で必要となるというだけでなく、いざお店を始めてから経営方針がブレないようにするためでもあります。
次に資金をいくら用意できるのか、確認しましょう。
- 物件を取得するための費用(土地・建物、貸物件なら家賃)
- 工事費(内装・外装)
- 厨房設備費
- 備品調達費(テーブル、イス、食器など)
- 当面の運転資金(仕入れ、人件費、光熱費など)
これだけのものを用意しなければならないのですから、かなりまとまった金額が必要です。大学生が起業、それも飲食店となれば、なかなか自己資金だけでまかなうのは結構厳しいですよね…。
しかし、親や知人をアテにできる人ばかりではありませんし、民間の金融機関が何の実績もない大学生に多額の融資をしてくれるとは思えません。日本政策金融公庫という公共の金融機関もありますが、やはりある程度は自己資金でまかなえるようになってから、起業を始めた方が安心です。
もうひとつ忘れてはいけないのが、役所への届け出。食品衛生法により、「飲食店営業許可」を受けることは絶対に必要です。さらに扱う食品などによっては、これとは別に許可を受ける必要があるものもあります。また「食品衛生責任者」や「防火管理者」といった資格も取得しておきましょう。
学生が起業するときの準備・注意点【飲食店編】その2:物件探しと看板メニューには力を入れよう
ここまできたら、いよいよ具体的な準備にとりかかります。まずは物件を手に入れることから始めましょう。
当然のことですが、SNSで話題になるお店があるような繁華街の一等地は、学生が起業しようという飲食店に使えるはずありませんよね。計画を立てるときに決めた地域のなかで、少しでもよい条件の物件を見つけましょう。
貸物件であれば差し当たりの負担は少なくなりますが、長い目でみれば購入する以上に大きな負担になることもあります。また開いたお店が軌道に乗らなかったとしても、月々の家賃は払い続けなければならない、ということを頭に入れておきましょう。
実際にやってみると、うまい具合に条件に合う物件はなかなか見つかりません。しかし妥協は禁物、たとえ時間がかかったとしても、あきらめずによい物件にめぐり会えるまで不動産屋さんに足を運びましょう。
物件探しと並行して、お客さんに提供するメニューについてもまとめていきます。やはり重要なのは「看板メニュー」ですよね。人気のあるお店というのは、何かしらお客さんが目的にしている看板メニューがあるものです。
ただメニューを並べていくだけでなく、そのメニューを出すのに必要な食材の種類や分量、それを手に入れるために必要な仕入れ価格の合計をきちんと計算し、またお店で提供する価格を決めていきましょう。
学生が起業するときの準備・注意点【飲食店編】その3:環境面を整え、優秀なスタッフを募集しよう
次はお店を開くのに必要なものをそろえる段階に入ります。学生が起業する飲食店、やはり第一に考えないといけないのは環境面を整えること。とくにスタッフが作業をすることになる厨房の環境は最優先です。
- 厨房の作業スペースや通路はじゅうぶんに確保されているか
- 食材を搬入する通路は確保されているか
- お客さんに出す料理を運びやすくなっているか
- 厨房のエアコンの位置は適切か
もし厨房を見学させてくれる知り合いがいるのであれば、実際にどのような厨房になっているのか見せてもらうといいですよね。スタッフが無理なく快適に働ける空間を提供するのは、経営者として当然の義務です。
そして次はスタッフの募集です。厨房スタッフとホールスタッフそれぞれ必要ですが、より有能な人材を集めたいのであれば、いろいろと考えなけれならないことがあります。
- 時給、交通費の設定
- 各種保険に加入する(社会保険、雇用保険など)
- どの媒体を使って募集するのか
また実際に雇用したスタッフの教育も重要です。あらかじめマニュアルを作成しておくなどして、スタッフが戸惑うことなく動けるようにしておきましょう。スタッフの質は、そのままお店の評判につながります。
学生が起業するときの準備・注意点【飲食店編】その4:事業計画を立て、他店を研究しよう
学生の起業、それも飲食店を始めるのであれば、成功するために必要なことが多くありますが、特に重要なのは「事業計画をしっかり立てる」ことです。
銀行などから融資を受けるのであれば必ず作らなければならない事業計画書ですが、すべて自己資金でまかなう場合でも、お店を始める段階で作っておきましょう。
なかでも重要なのは売上予想です。時間帯ごとに予想なり目標なりを立てておき、もし売上額が届かなかったのであれば、予想や目標がむちゃだったのか、それともほかに何か原因があったのかを分析いなければなりません。分析結果をもとにスタッフとロールプレイングをするなどして問題点を共有するのもいいですよね。
そしてもうひとつは「ほかのお店を研究する」ことです。何も知らない学生の起業、飲食店の開業ならば、成功しているお店がなぜ成功しているのかを知る必要があります。
さて、今回は学生が起業して飲食店を始めるにあたって準備しなければならないこと、失敗しないために注意しなければならないことについてお伝えしてきました。
飲食店を開くにあたってまずしなければならないのは、資金の確保と同時に「ビジョンを明確にしておくこと」です。いざお店を始めた後で経営方針がブレてしまうことのないよう、計画はきちんと立てておきましょう。
物件探しとメニューの設定は、決して妥協してはいけない重要な準備項目です。どちらも開業前にきちんと計画を立てておくことで、スムーズに進めていくことができますよね。
さらに今後のお店の評判に直結するのが、環境面の整備と人材の確保です。優秀な人材を確保し、スタッフの質をさらに高め、またスタッフが十分に能力を発揮できる環境を整えておきましょう。
学生が起業して飲食店を始めるのであれば、注意しなければならないのは「事業計画をきちんと立てる」ことと、「ほかのお店の成功や失敗に学ぶ」ことです。学生で起業して飲食店を開きたいという人も、ぜひ役に立つ知識や心構えを知っておきましょう。